個展「本の時間」展示作品

個展「本の時間」にて展示いたしました作品を
ご紹介します。
今回の個展で1番最後に描いた絵です。

キッチン/吉本ばなな
1988年/福武書店
1991年/角川文庫
2002年/新潮文庫
2013年/幻冬舎(電子版)
1989年、1997年/映画化

キッチン、満月キッチン2、ムーンライト・シャドウの3つ話が一冊となった短編集。

吉本ばななには数多くの名作がありますが、キッチンを読まれている方は多いのではないでしょうか。

最後に収録されている話、ムーンライト・シャドウは、
吉本ばななの大学の卒業制作です。

【キッチン】
早くに両親を亡くし祖母と暮らしていた、みかげ。
その祖母も亡くなり、天涯孤独となった時、
生前祖母が慕っていた花屋で働く田辺君と出会い、田辺君と田辺君の母、えり子さんと同居する。
日常の中で、少しずつみかげは前を向いていく…。

【満月キッチン2】
ある日突然おとずれた大切な人の死。
みかげと田辺君の関係も変化していきます。
夢と希望。死と絶望。恋と愛。
キッチンが絶望からの再生で前を向いていける話ならば、満月キッチン2は少し重たい現実的な話が書かれています。

キッチンは、生と死、希望と絶望をテーマに書かれています。
そして眠ること、食べることは人間にとって必要で元気にしてくれる大切なことだと感じられます。

節目節目には思いがけず絶望する場面に出くわしますが、生きていくなかで出会う様々なことの中に、ひとつひとつ幸せを見つけていくのではないでしょうか。

小説の冒頭に孤独なみかげが、夜、星空が見える窓辺の台所で眠るシーンがあり、キッチンの戸棚にある星くずの瓶の中で眠る、ルリビタキを描いて表現しました。

孤独=蓋をした瓶
青い鳥=幸せ

必ず誰かがあなたを見つけてくれて、瓶の中から飛び立てるという意味も込めています。

話は変わりますが先日、職場のカフェに来店されたお母さんとその娘さん。
娘さんの髪が顔にかかった際、さっと耳にかけてあげたお母さん。

何気ない仕草でしたが、お母さんが娘さんを大切にされているという愛情をとても自然に感じられていいなと思いました。

孤独を感じたり、絶望を感じたり、生きていくことは苦しみも多いけれど、
けっしてひとりではないということ、
誰かがあなたをみてくれて、大切にしていることを忘れてはいけないなと気付かせてくれる小説です。

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