個展「本の時間」にて展示いたしました作品を
ご紹介します。
恋文/連城三紀彦
1984年/新潮社
第91回直木賞受賞作
「恋文」「紅き唇」「十三年目の子守唄」
「ピエロ」「私の叔父さん」
5つの短編からなる一冊です。
夫婦、恋人、元恋人、義理の母、叔父、姪
様々な家族の、人の、愛を書いた一冊です。
何度読んでもいい本だなぁと感動します。
特に好きなお話は、恋文。
「俺、悪いことするかもしれないから、先に謝っておく」ある日、美術教師の夫から職場にかかってきた電話。
夫は窓にマニュキュアで描いた桜の花びらを残して、
明け方家を出て行った…。
教師を辞め、元恋人のもとに行き様々な無茶をする夫、
将一。
命が燃え尽きようとしている夫の元恋人、江津子。
父と母に何かあったと悟り、思いを手紙にして母の職場の出版社に人生相談の手紙を出す息子、優。
そして、全てを受け止めて前へ前へ進む妻、響子。
どの人物も誰かを思う強い愛が書かれています。
それは全て形を変えた恋文。
作中には、”ラブレター”とあり、恋文とは書いていないのにタイトルが恋文ということ、知りたいな。知らないままでも何か感じられたらいいのかな。
本の最後に書かれた”あとがき”は、書き手の連城三紀彦しか知らない作話秘話も書かれています。
恋文は、45ページと短いお話ですが、2003年にドラマ化しています。脚本も役者も素晴らしいドラマでした。
手元にある文庫本は、友人がプレゼントしてくれた本です。
はじめに読んだのは大学の図書館で、本を持っていなかったから、とてもとても嬉しかった。
白くまのまわりにある、桜の花びら。
斜めにかけたカバン、
くちびるのキーホルダー、
ピエロのぬいぐるみ、カメラ。
5つの話のキーワードを絵におさめました。
だから白くまのまわりは、雪でなく桜の花びらなのです。