個展「本の時間」にて展示いたしました作品を
ご紹介します。
白いしるし/西加奈子
2010年/新潮社
32歳独身の画家、夏目(女性)
ある日、友人の瀬田に連れて行ってもらったギャラリーで間島の絵を見た瞬間、心は波立ち持っていかれてしまう…。
夏目、間島、瀬田、それぞれの恋が書かれています。
本の裏表紙には、ひりつく記憶が身体を貫く、
超全身恋愛小説。
とあるように、”血”、”縁”という重いテーマを勢いよく
書いた小説です。
瀬田の手から、盲目の白猫がするりと抜け出した。
あまりにも真っ白で、美しいから、瀬田から魂が抜け出したみたいだった。
(小説の一部より)
絵の猫は、本の最後の方に登場する、
白い盲目の猫です。
久しぶりに本を読み返した時に、この話って映画で観たのでなくて、小説だったんだ…と思いだしたほど、映像的な印象が残るお話です。
今回唯一、何かを動物に例えるのではなくて、
小説の一部にある動物を描きました。
作者の、生と死を意識したメッセージが感じられると
思ったからです。
死んだように生きるのではなく、生ききる。
どこか救いがあって欲しいな…
と思ったので、ほんの少し笑った白い猫を描きました。
白いモンシロチョウは私のオリジナルです。